「善き門外漢」のこと

モクジでは開店当初より扱っている小出版物「善き門外漢」。 もうすでに知っている方、読んでくれた方も多いかと思いますが、
(宣伝が遅くなってしまいすみません)最新号のVOL.3が入荷しています。
「善き門外漢」とは、中里仁美さんという方が一人で文章を書き、絵も描き、編集もデザインもし、入稿もし、広報もしている、そんな小出版物です。
HPからの文章を抜粋すると、こんな感じ。
『善き門外漢』は、門外漢として、肩書きやジャンルや予定調和にとらわれることなく、愛着と自由でもって表明する、パーソナルかつエモーショナルな小出版物。
どちらかというと、ネガティブな言葉として使われる「門外漢」。
その道の専門家ではない人。その道に直接関係のない人。と辞書には書かれている。
わたし自身のことで言えば、例えばいろいろと好きなものや事柄があるけれど、そのどれもを徹底的に掘り下げいるわけではなく、どのジャンルにおいても門外漢であるような気がしており、それを不誠実だと捉える時もあれば気楽だと開き直ることもあり、
どうにも不安定で居心地の悪い思いをどこかで抱えていました。
なので、このタイトルを見た時、門外漢という言葉に「善き」が付いていることにドキッとして、お、なんだかいいぞ、と勝手にシンパシーを抱いていたのでした。
創刊号の最初のコラムは、「善き門外漢になる」というタイトル。 詳しくはぜひ読んでみてもらいたいのだけど、とにかく「門外漢」というどこか後ろ向きな単語の意味をがらりと変えてくれるようなドラマチックな読み物で、自分の中でもやもやとしていた「愛着」の置きどころが分かったような、そんな気持ちにさえなる文章でした。
(誰に宣言したわけでもないが、わたしも善き門外漢になるぞ。と決意が固まる)


←ちなみに
これが
創刊号。
イラストや
デザインも
面白い。
中里さんの文章は、熱量がすごい。 でもそれは重苦しいというわけではなく、軽快で、ところどころふふっと笑えるようなところもあり、しかし純然たる怒りもあり、倦怠や憂鬱さもあり、そのバランスがなんとも言えず心地よい。 心のうちに渦巻く気持ちや事柄を読み物にしてしまう力量もありあまるほどあって、読んでいるうちにどんどんと引き込まれてしまう。
「うんうん、そう思う」と激しく同調したり、自分の気持ちを代弁してもらえた気になったりと、自分との対話のような読み方になる場合もしばしば。
ひとことで言えば(身も蓋もないですが)とっても面白い文章です。
そして、確実に自分に返ってくるなにかがあります。
それは大切なことを思い出させてくれたり、自分を再び尖らせてくれたりと、毎回「善き刺激」を生んでくれる、所謂「善き体験」そのものでもあるのでした。
ということで、前置きが長くなってしまいましたが、
最新号vol.3「アウトサイダーの向上心」、店頭にて取り扱いしております。

今回も、中里さんらしい熱量たっぷりの文章が味わえます。
アメリカの社会哲学者「エリックホッファー」と、戦国の茶人「千利休」を軸に、
「アウトサイダー」に関連する事象を探り、考察し、愛着を持って遊ぶ。
という魅力に溢れた一冊です。
ホッファーも利休もよく知らない、という人にも必ず刺さる内容になっています。
ページも増量、
表紙はピカピカ、なんと背まである。
見た目にも素晴らしき成長を遂げた最新号、
ぜひ読んでもらいたい一冊です。


アーティスト・室井悠輔氏との「往復葉書」のやり取りを記録したコーナーも必見です。素晴らしい。↑
ということで、長々と、そして取り留めもなく書き連ねてしまいましたが、
中里さんの作り出す「善き門外漢」、どの号も素晴らしいのでぜひ手に取ってご覧下さい。
さらには、そんな中里さんとイベントめいたものをしようと企画しております。
期日は6月半ばより。モクジにて。
「読むこと(と書くこと)」と「食べること(と料理すること)」が一体となった、
モクジにしかできないイベントになればいいなと目下思案中です。
詳細が決まり次第また告知しますね。どうぞお楽しみに!
◎善き門外漢のHP http://yokimongaikan.com